期待
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思索
小さい頃から人の期待を敏感に感じ取っていた。
自分で言ってしまうのもあれだが、やはりどこか「神童」のように思われる素質とか、
ガリ勉というわけじゃなくても、観点が多くの人とは違ったり、地頭力が良かったとは思う。
幼稚園に上がる頃までは母方の祖父母からの
「将来は医者になって持病の喘息を治してくれよ」
という期待。
結局小学生のうちに二人とも亡くなってしまったし、医者になどなっていない。
小学生のころはクラスの担任からの
「学級代表はおまえしかいない」
という期待。
でも丁度転校が重なって小学校では学級代表という役職についたことはなかった
中学の時は友達からの
「お前ならきっと面白いことをやってくれる」
という期待。
それなりに面白いことはやってクラスのムードメーカーだった気はするが、友達だったすべての人と疎遠になった。
高校の時は親からの
「一流の大学に入って、良いところに就職を」
という期待。
一流の大学に入るところまでは成功した。でもドロップアウトはそこから始まった。
大学の時は教授からの
「きみは良い感性を持っているから将来大物になるんじゃないか」
という期待。
大学ではうつになりパチスロにはまり、留年を繰り返した結果ラーメン屋からしか内定はもらえなかった。
うつになってからは周りの人からの
「よかった元気そうだね、きっとすぐに良くなるよ」
という期待。
確かに重症ではない。けれど本当の内面は決して理解されないだろうという諦め。
周りに期待してくれる人がいるというのは、
何にも期待されることが無いより幸せなことかもしれない。
人から何も期待されることが無かったという人は、
僕がこういうことを言うと、そんなに恵まれた環境にいて何を嘆く必要があるんだ、
能力があるくせに期待に応えようと努力をしないとはただの怠慢だと罵るかもしれない。
でもそれが最高に自分の人格を否定されているようで一番辛い。
できないのではなく、やらないというのは、
できないことより悪とされる世の中だ。
「やればできる子」というのは、ただやらないだけの怠け者。
何事も行動に移さなければ価値がないという考え。
そこに周りの期待してくれている人たちへの感謝の念みたいなことを持ち出されたらたまったものではない。
能力的にできることより、
人間性を重視するような価値観。
世の中の大勢の人は平凡であるからこそ生まれた、
能力があることよりも、人としての大切さを説く風潮。
それに迎合することのない自分は、
やはり社会には不適格なのだ。
能力はあったのに、期待に応えることができず、
社会に貢献することのない自分は悪で、救いようがなくて、矮小な存在なのだ。
そんなことはない。自分に自信を持って。
と言ってくれる優しい人ももしかしたらいるかもしれない。
でもそれもやっぱり期待なんだよね。
もちろん、人と人とが本当のところでは分かり合えない以上、
あの人は、本当はこういう人なんだろう。
という期待を持って接するしかないから、良い面でも悪い面でも、
必ず人間関係は期待にあふれたものなんだけど、
それに応えるのはもう疲れたんだよ。
自然と誰かに好かれようと思う振る舞いをしてしまうたびに、
自分が削れていってしまうような感覚、
それをもう味わいたくない、
だから人との関係も絶ってしまいたい。
じゃあ、そんなに言うならブログにこんなこと書いてないで、
すべての繋がりを断ち切って一人で生きていけよ。
という反論、あるいは期待。
それにすら応えたくない。
期待はされたくない。
でも「ありのままの(笑)」自分を誰かに認めて欲しいという『期待』はあって、
その狭間で揺れ動き、
そんな自分がやはり許せなくて、
でも許したくて、
波なのか粒なのか、自分の存在を明確にできないまま、
それでも存在はしていたくて、
矛盾を抱えたまま、もう自分がこの世にこうして発生してしまったという事実は揺るぎなく、
少なくとも死ぬまでは自分とともに過ごしていかなければならない。
だから、自分だけは自分にどんな期待も抱かない。
無条件で自分の存在を認めてくれるのは自分しかいない。
ただ生きている、ただそこにいることを許してくれるのは自分しかいない。
自分で自分に期待して、その期待に応えられないことを許せなくなったら、それで終わり。
まだ終わりたくないから。
自分だけは、どんなことがあろうとも、自分をただ認める。期待せず。無条件に。
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Comment
はじめまして。
自分も言葉にされたわけではないけど、他者からの期待を異常に感じて生きてきたとおもいます。
周りのことを考えすぎて、自分を後回しにして、いつの間にか周囲には敏感になり自分の気持ちには鈍感になっていました。
様々な精神疾患に悩まされましたが、そのおかげで自分も幸せになっていいんだって分かってきました。