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「思い」について思う

公開日: : 最終更新日:2014/05/05 思索

思ったことを口にしたり、書いたり、行動に移したりすることはやっぱり苦手です。

 

例えると「エアー抽選機」のようなんですよね。

祭りのくじ引き露店で見かけるやつです。

 

頭の中では色んなことがすぐ思いつきます。

ただ、その思いついたことががくじ引きの紙だとすると、

最初はこのエアー抽選機の中を飛び回っているような状態で、

中に何が書かれているのか分かりません。つまり、頭の中で思いついた段階では、

相手に伝えたり、自分が行動に移せるための言語化がされてないのです。

 

 

ですから、くじを引かなければなりません。

 

くじを引いて中身を確認し(言語化し)、

それでやっとアウトプットできる状態に持っていけます。

何かを話したり、書いたりをするたびにこのエアー抽選機の中に手を入れてくじを引き、

その結果を表現するイメージでしょうか。

 

 

ですが、くじ引きなので当たり外れがあります。

一等とか二等とか、いいのがすぐに出ないと、やっぱり出るまで何度も引き直したくなり、

結果、時間とお金を使って、足元にはカラくじの山ができたりして……。

 

要するに、いい結果が出るまで、思いついたことを片っ端から言葉にしようとするのですが、

どれもいまいちな気がして、

「本当にこう言ってしまっていいのか?」

「もっと上手い言い回しになるんじゃないのか?」

と、コスト(ここでは精神力や、単純に時間など)を使ってしまいますが、

どんな場面でもベストな(一等の)アウトプットなんてできません。

 

時には、まったく正反対の思いが書かれたくじを二つ掴んだり、

狙っていたくじが透明なケースの淵に貼りついてしまって手が届かないこともあります。

 

それでも思いはエアーに舞っていくつも残っています。

全てを言語化するためには、祭りの時間も、財布の中身も足りません。

結果仕方なく、掴み取ることができた思いの中からアウトプットするものを選び、

口に出したり、メールに書いたりするのです。

 

けれど、くじ引きでは1等賞だった思いも、

いざ相手に伝えてみると全く意にそぐわないものだったり、

もしくは4等賞くらいでも、それで良い結果になることもあります。

 

苦労して何度もくじ引きに挑戦したところで、

アウトプットした結果がどうなるかわからない。

そして全てのくじの中身を確認することは絶対にできないから、

えいやっと最初に引いたくじの中身で勝負してしまうのもアリなのでしょう。

 

 

ただ、それでもやっぱり何度もくじを引いてしまうのは、

自分にはくじ引きの景品の価値を本当に実感できないからかもしれません。

 

くじに書かれた文字では「一等」が一番いいことを理解できます。

でも「思い」の大きさや価値は「くじ引きの紙」のレベルでしか実感できない気がしてしまいます。

 

それは「思い」に紙切れ程度の価値しかないという感覚ではなく、

「一等」であろうと、「はずれ」であろうと、どれも自分の実感としては等価値なので、

どんな「思い」であれ自分の本心だと感じられるのです。

 

ですが、実際には相反することだったり、

あるいは世に出せないような「思い」ですら自分の中では等価値になってしまって、

今までの経験から、あるいは誰かとの比較でしか、その「思い」の世の中に対する価値を知ることができません。

 

「思い」が全て等価値で、それらを全て開いて比較検討してみないと、

自分の中の「思い」の価値を知り、一つに絞ることができないなんて、

まるで人工知能が直面するフレーム問題のようなのです。

 

プログラムのように、完全に機械的といかないまでも、

それに近い処理をいつもしてしまうので、

メールの返答に時間がかかったり、周りに合わせ過ぎてしまったり、あるいは優柔不断と思われたり。

なかなか対人的には扱いづらい思考回路です。

 

自分の強い意志で「思い」を持たず、

どんな「思い」も等価値に感じてしまうのは、感情の無い冷たい人間だとして理解してはもらえないかもしれません。

 

 

でもやっぱり自分にとっては、どの「思い」も本心で、

等しく価値のあるものとして、自分だけは理解したうえで取り扱っていきたいのです。

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Comment

  1. nachiko より:

    凄く私にはわかりやすい感覚で、共感をおぼえました。

    私はロジカルな思考が苦手でなかなかおもいつく思いを表現できませんが…それでもどの思いも大切なのでゆっくりでもへんてこりんでも 自分なりの言葉で発信していきたいなぁと考えてます^_−☆

    • ヌーヌー より:

      nachikoさん

      こんばんは。nachikoさんも色んな「思い」を抱えていらっしゃるのですね。
      非HSPな社会では物事を即断即決即行動するのが良いこととなりがちなので、
      考え過ぎてしまう人にとっては過ごしづらい気がします。

      でも、やはり色んな思いを抱えて、ゆっくり吟味し、表現していくことも同じくらい大切だと思うのです。
      どんな「思い」でも、誰のものであっても等価値だと感じられるからこそ、
      nachikoさんのおっしゃるように、自分の「思い」も自分なりの言葉で外に出していきたいです。

  2. 匿名 より:

    エアー抽選機って、その通りだと思いました。いろんな考えが頭の中で飛び交っている様子です。
    アタリもあればハズレもある。引っ張り出せても言語化するのに私もとても時間がかかります。
    ブログやホームページの情報更新、メールの返事など。
    要領悪いなあと思いますが、それも含めての自分なんですよね。そう思えるようになってきたのは、HSPとの交流のおかげだと思います。

  3. ヨーコ より:

    ヌーヌーさん
    ↑↑名前入れるの忘れました。
    失礼しました。
    ヨーコです。

    • ヌーヌー より:

      ヨーコさん

      コメントありがとうございます!
      ブログの記事やメールなどの書き物は僕も時間がかかってしまいますね(^^;;

      仕事でも、とにかくスピード重視が求められがちですけど、本当に必要な場面でなければ、熟慮したアウトプットを心がけたっていいのだとも思っています。

      スタイルの問題って考えれば、色んなスタイルの人が居たっていいはずです☆

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